「そもそも”食”についてあまり語っていない理由」
咲くカフェのSNS等をフォローしてくれている人なら分かると思うのですが、咲くカフェでは「料理」とか「こだわり」とか、「食」についてあーだこーだ書くことってほとんど無いのです。
ただ、あまりにも食べ物の画像が少ないなと思って、たまにランチの写真をアップしてみたり。笑
あとは新メニューのお知らせとか、新食材のお知らせとか。どちらかというと、大子のお野菜自体についての話が多いかな。
それはなぜか?
理由① 「僕は素人だから」
このコラムの過去の回でも話に書いたと思いますが、料理に関して勉強・修行等をしたことがないので、ある意味超一般人の素人なんです。だから、偉そうに語ることは自然とやらない。
理由② 「"食"をメインに提供しているお店だとは思っていないから」
これはメニューの構成がどうとかではなく、これもおそらく過去のコラムにも出たと思う話、「咲くカフェは音楽+ライフスタイルを融合させた物(=LEMSの音楽作品)であり、”食”を提供するお店ではなく、お客さんが咲くカフェに来て満喫して、お客さんから入場料・利用料的なお金をいただく理由に、”食”という方法を使っているだけでしかない。」ということ。
理由➂「”食”で集客するつもりが無いから」
上記理由に続く話。このコラムの第6話 & 第7話「咲くカフェの集客術」の中で書いている【「○○屋さん」であれば「○○」以外の部分でお客さんを呼べるくらいになる必要がある。】ということ。
咲くカフェはお金をいただく部分の「○○屋さん=飲食店」であるため、そもそもそこで集客するつもりはなく、自分にとって咲くカフェの"売り"の部分はもっと他の部分であるから。
理由④ 「商品である”○○”は、大ボスだと思うから」
上記と若干同じ内容となりますが、、、
一般的に○○屋さんの"○○"は、プロの仕事人に取ってみればそりゃぁ、本業中の本業であり、一番自信を持って胸を張れる部分だと思うんです。
僕が考えるのは、その"○○"は最後の大ボスであって、その大ボスを一番最初に持ってくるという事には違和感を感じます。
理由⑤ 「うるさくなりたくないから」
最後に全く違った視線。
飲食店等の様々なお仕事の方々がSNS等で「私のお店のメニューはこうのこうので・・・」「ここにこだわってます!」「今日もこだわりの一品の仕込み中!」「今日もまた、、、」・・・・などなど。
おそらく皆さんも感じたことがある(?)ように、、、「うるさい」。笑
といったような理由で、これまで「食」についてあまり語るということをしてきませんでした。
「食材に関しての基本的概念」
【食材に関して】・・・ 地産地消というより、持論的な物があります。その「季節に」取れるもの、その「土地で」取れるもの、その「気候で」取れるもの、それぞれには理由が必ずある。
魚は土の上では生きられないし、茄子も冬には育たない。日が当たる場所で育つ植物があれば育たない植物もある。そして、その魚を食べるサメは海で生き、野菜を食べる動物や昆虫は山でも生きる。小学校で学んだ様な地球上の生命の”当たり前”。そこには地域や気候、気温、環境とか様々な理由もある。
だからこそ、その土地のその季節にその場で育っている植物には、今そこに育つ当たり前の理由があって、その地域で生きる動物はそれを食べることがものすごく当たり前で、そうして地球の自然は回っている。
人間も同じ動物。海の町に生まれた男は漁をして、山の男は作物を育てて狩りをする。この町の人がこの町に住んでいることにも理由がある。この町の人が全員ハワイに行っても、うまく暮らせないだろうと勝手に思う様に。笑
そして結局、その土地のその季節の”食”を食べることが人間にとってもすごく自然な行動で、それこそ最高に美味しい”食”でそれ以上の物は無いと思う。
よく旅行先で食べて美味しかったものを、取り寄せたり、お土産に買って来て食べてもそこまでの感動が無いのと同じ。
その土地で、その風土?その空気?文化?環境?etc...の中で食べたから美味しかったのだと思う。
だからこそ、地元の農家さんの季節野菜を素直に提供している「咲くカフェの”食”」は少なくとも、この地域のその季節で食す物として他に負けることは無いし、人に感動を与えられる素材であることに間違いはない。
「世の中から消えていく"調理"」
「普通」と言っていいのか分からないけど、 本来の食事って作ってましたよね?(調理という行動をしていましたよね?)
買い物に行って、買って来た食材を使って、調理して食卓へ並べる。
さらには少し田舎へ行けば、前項で書いた様に、その季節に取れた野菜や食材を使って、台所で各家庭ならではの調理を施して、食卓へ並べる。
ある意味それが当たり前の生活であった。
でもさ、何でも便利な物が出てきて進んできた時代とともに、身近な「調理」が消えてきている。と感じる。
冷凍食品、冷凍スイーツ、、揚げるだけ食品、、、食材を炒めて絡めるだけソース、、、湯煎で温めるだけ料理、、、それこそパックや缶から出すだけのお新香やサラダもあれば、、、ドレッシングでもバジルソースでも、、、、何でもありますよ~~~とね。
それこそ、その現実が家庭の中だけでなく、飲食店に於いても一般的になってきて、 季節の素材の話がどうのこうの話すまでもない、もはや「製品の味」になってしまっている。
個人的な話になりますが、僕は20代半ば頃からそういった「製品の味」を美味しいと感じなくなり、コンビニ・ファミレス・スーパー・居酒屋、etc...の食事を食べるという事が、生活からほぼほぼ無くなっていきました。
「作ることを大切に」
そんな僕だからこそ、自分で料理を提供する時には、しっかり調理した物を出したいというのが、咲くカフェの食の基盤でした。
各メニューの料理や副菜を1品1品調理するのはもちろんのこと、各種ドレッシングも手作り、 柚子胡椒も手作り、ピザソース、バルサミコソース、サルサソース、黒酢ソース、冷やし中華、奥久慈しゃもスープ、辛みそ、胡麻ダレ、鍋スープ、etc... 挙げたらキリがない、、、各メニューに使うタレやソース類ほぼ全て手作りで仕込みます。
※お味噌は地元麹屋さんの手作り味噌♪
スイーツももちろん、ケーキ関係から、お豆腐のムース、豆乳ゼリー、アイスクリームだって卵を割るところから手作り♪
最近では手作りのコーラ=「クラフトコーラ」もメニューに追加♪
おそらく、チェーン店の経験がある人が咲くカフェに来たら、その仕込みの数のバリエーションの多さと作業の多さに驚くでしょう。
営業は営業で大変なのに、仕込みは仕込みで大変だ!って。
分かりやすい例で咲くカフェの「ハンバーガー」を例えると、お肉のパティを挽肉から成形するのはもちろん、中に入れる「サウザンアイランドソース」も手作り、ピクルスも大子野菜でオリジナル甘酢に漬け込み、バーベキューソースに使ういわゆる「焼肉のたれ」さえも手作りです。
エバラとは無縁です。笑
※バーガーバンズは地元のベーカリーに、咲くカフェオリジナルで発注しているパン。フライドポテトはシューストリングポテトに生ジャガイモのポテトを混ぜて2種の混合感を出しています。
そうやって各メニューの一つ一つが作られているのです。
「当店の○○は、こうのこうので、、、!」 ・・・はい、うるさい!笑
なので普段はあまり言いません。笑
逆にお客様から「これすごく美味しかったですぅ! 何か特別なんですか?」みたいに聞かれた時には「実は、こうのこう言う風に作ってるんですよ~。」とお答えする時はあります。
「えーなるほど、そうだったんですねっ! だから美味しいんだぁ~」って。
大ボスですから。笑
少し余談ですが、あの国内超大手食品メーカーの「日本食研」さんが咲くカフェに営業に来た時の話。
何冊かのカタログや、カフェで使えそうな試食品をいただき、後日再訪問にいらっしゃいました。
僕はそれまでに、いただいた試食品もちゃんと食し、カタログもくまなく拝見しました。
そして営業担当の方が再度いらして下さった時の会話、、、
担当者さん「いかがでしたでしょうか?」
LEMS「咲くカフェでは食材を仕入れることはあっても、作られたものを仕入れることは無いので、カタログの中で使えそうなものは「ソーセージ」だけしか見付かりませんでした。。。」
その後、何度かいらしてくださいましたが、日本食研さんは完全に咲くカフェの本質とは真逆の企業さん。
何度いらっしゃっていただいても、、、
話を盛ってる訳ではなく「・・・マジで使えるものが無い。」
だって、何度もいらっしゃってくださるから、
せめて一度何か注文してあげようかと思ったんですけど、、、
「マジでソーセージ以外無い!」hahaha...
そんな中、ふと思いました。
こういった既製品を全国に流して大利益を上げている企業さんが、この現代でも存続しているという事は、その間は咲くカフェに対する食の評価は安泰かも。と。笑
だって、それだけ"そういった食品"を使っているお店が世の中には多いっていう事の現れですもんね。
日本食研さん、応援してます!笑
(咲くカフェで買うことは無いけど。)
ちゃんちゃん。
「LEMSの半生調理法」
僕が勝手に名付けた「半生調理法」という調理法を焼き物・揚げ物・茹で物・煮物、店内のほとんどのメニューで行っています。
つまり、野菜を半生程度の火入れで仕上げること。
【火の通った旨味+香り】+【食材本来の生のフレッシュな食感+香り】= その両方が口の中で合わさり、地元季節野菜の香り・旨味・食感を全て一口で味わえる調理法。
そしてここでも持論があります。
料理も様々な物事と同じで、あまり勉強し過ぎると固定概念や先入観に染まる様な気がします。
調理学校行ったり、レストランで修業したり、教室に通ったり、、、「これはこう調理しないといけない」というような先入観が身に付く。
「小松菜のお浸し」を作るのに、おそらくレストランでも教室でも、それこそネットでレシピを調べても、同じ様に茎の方から入れて、同じ時間(30秒くらい)の茹で方を教わる。
でも僕は「5秒」しか茹でない。本当の5秒ですよ。鍋から離れる時間も無いくらい。
そうやって仕上げたお浸しは、シャキシャキ食感が少し残って、さらにフレッシュな香りが口の中にフワァ~っと広がる「お浸し」が出来る。
これはほんの一例。
だから、僕がいつも言っているのは、料理の勉強をした人には僕が作る料理は作れない。
つまり、季節野菜を美味しく食べる方法に関しては、勉強・修行した調理人に僕は負けることはないと思っています。
「最強の大ボス」
これまで挙げてきた「食材」・「作る」・「調理法」、いずれも自分なりに「他には負けない」と思っている要素。
そして、これまでのコラムでも書いてきたように、その作られた料理を提供するビジュアルデザイン、それを食べる空間デザイン、etc... = つまりLEMSデザインによる「咲くカフェの食」のデザイン。
それらが合わさることによって、LEMSの生み出す「食」という物が、普段は表には出てこない最強の大ボスとして控えることになる。笑
結果、咲くカフェに於ける「○○屋さん」の「○○」を「飲食」とし、咲くカフェの全てのデザインをひっくるめて考えた際に、「咲くカフェ」自体が最強になる。というのが「ド素人」の僕なりに描いた計算式です。
「自分の感覚を優先する」
後半は、今までの「食」のこだわり的な話とはまた少し違うお話をします。
先ほど、半生調理法を紹介しましたが、その部分も結局言ってしまえば「好み」でしかないと思うんです。
野菜だってしっかり火が入っていないと嫌だという人も多いでしょう。
それこそ、レビューで「野菜が生だった。」なんてコメントもありましたし。笑
でもいつも僕が言っているのは「自分の感覚を優先しないと意味がない」。
もちろん、味に限らず、盛り付け・見た目・空間づくり、デザイン、、、全てに於いてですよね。
これまでの経験でこういうお店や人にいくつか出会いました。
「○○(調味料や食材)は好みが分かれるからあまり使わない。」とか「田舎ではウケない。」とか言って、お店で提供していない人たち。
前のコラムでも出てきた話かも知れませんが、人が「こういう味」が好きだからって合わせたり、人が「こういう料理」を求めてるからって合わせたり、そういった事をやってると究極の話、メニューは「親子丼」「カツ丼」「ラーメン」「刺身定食」、、、になると思う。笑
そうじゃなくて、自分が「美味しい♪」と思うもの、「素敵♪」と思うもの、「最高♪」と思うもの、それは誰が何を言おうとそこは優先しないとね。
だから当たり前だけど、咲くカフェに来たみんなが「咲くカフェの味」に満足するとは思っていない。
当然「いまいち」っていう人もいるけど、それはそれで「僕とは好みが合いませんでしたね。」ってだけの話になります。
だって、僕がコンビニ・ファミレス食に美味しさを感じないって言っても、むしろ逆にそれを美味しいって言ってる人の方がたくさんいると思いますし。笑
飲食店というものは、ただその店と相性の良い人に喜んでもらえたらそれで良いのだ。
「その他こだわり食材」
さて、今回の食の話もそろそろ終わりですが、地元の季節野菜以外、今回の話に登場しなかった食材についても、実はけっこうこだわっているので、ざぁーーっと記載しておきますね。
○山葵(ワサビ):2021年~、Instagramでつながった大子の八溝山の麓でワサビを生産している旅澤さんによる生山葵「大子ワサビ」を使用♪
○常陸牛:メニューの「咲くカフェ 常陸牛ボウル」をはじめとする常陸牛メニューには、塊で仕入れているA5ランク「常陸牛」を100%使用。
○豚肉:豚肉の各部位は全てスペイン産のイベリコ豚。脂身はオレイン酸を豊富に含み、脂っぽさよりもサラッとした旨味が際立ち、肩ロースに関してはは融点が37度程度の物を使用しているため、口の中の温度でも溶け始めて旨味が広がる。
○生ハム:塩気と旨味が濃厚な、イタリア産「プロシュート」またはスペイン産「ハモンセラーノ」を原木で購入し、咲くカフェでカットして使用しているので旨味、香り、食感は市販品と別物。
○ベーコン:ベーコンは全て、スペイン産パンチェッタ(生ベーコン)を使用。豚肉ながら加熱・燻製されていなく、生ハムとはまた違う香りと旨味が濃縮されたベーコン。
生ハムとパンチェッタとワインだけで、一晩飲み明かせられます。むくみ注意。笑
○パスタ:埼玉県の製麺屋さんによる、生パスタの「タリオリーニ」。(※冷製パスタはイタリア産1.4mm 乾麺を使用)
○ナン・トルティーヤ:東京・八王子、あのドミノピザの元商品開発部マネージャーが商品開発を行う業務用生地屋さんの、手焼きのナンやトルティーヤ。だからこそ形も全て違く、味も良し。
○パルメザンチーズ:羊乳から作られる、独特な濃厚な香りと味わいのイタリア産「ペコリーノロマーノ」を使用。
○アンチョビ:イタリア・シチリア産、自然海塩とヒマワリ油で8ヵ月熟成された良質な手作りアンチョビの中でも、形の崩れたB品を仕入れることで味は変わらずメニューでは安価に提供。
○ゴルゴンゾーラ:イタリア産2か月熟成の「ドルチェ」タイプ(マイルドでクリーミー)を使用。
○バニラ:手作りバニラアイスにバニラエッセンスは使用せず、マダガスカル産バニラシーズがたっぷり入ったバニラペーストを使用。
以上、「咲くカフェの食の話」でした。
来店いただいた際に、食のこだわりポイントを少し気にしていただけたら、こちらも嬉しいし、食べる時もより充実するかも知れません♪